連載・夢のかなたの街/川﨑大助/エピソード6:ボストン 一九九六年/「湾岸の異界と川の向こうで羅針盤を得る」
【SERIAL STORY】Cities Beyond Fictions by Daisuke Kawasaki ep6 -Boston 1996-
全米横断の取材行だった
ボストンには、一度だけ行ったことがある。「一度だけ」となっている理由は、もうそれでいいや、と思ってしまったわけではない。後述するようにいろいろあって、幾度も継続して訪れるべき場所が増えてしまったがゆえ、いまのところ一度だけになってしまっている、という次第だ。しかし、その「一度」は、結構大きかった。
一九九六年十月半ば、僕は米マサチューセッツ州はボストンにいた。その前は、ロサンゼルスにいた。さらにその前は、サンフランシスコだった。どこの街も、このときが最初の来訪だった。自分が発行する――発行以外も、編集も執筆もデザインもレイアウトも、なんでもやっていた――インディー雑誌〈米国音楽〉第8号の取材行のつもりだった。いまバックナンバーを引…
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